プロ野球のFAの際に、FAのランクとか、人的補償・金銭補償ってよく聞きますよね。
プロ野球ファンの方でも、このFAの仕組みをしっかり答えられる人って少ないです。
今回はそんなFAのランクや人的補償・金銭補償の仕組みを解説します。
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◇目次◇(該当箇所クリックで飛べます)
プロ野球のFA制度をおさらい
まずはプロ野球のFA制度の概要をおさらいしておきましょう。
FA(フリーエージェント)制度は1993年オフに導入され、2003年、2008年に改正されながら、現在に至っています。
選手はFA権を行使することで、他球団と選手契約を締結できるようになります。
FA制度によって、自分の好きな球団やより条件が良い球団に移籍することが出来るようになったんですね。
つまり、選手の為の制度です。
このFA制度によって、選手が成績に見合った年俸を受け取りやすくなったと言えるでしょうね。
FAには国内FA権と海外FA権がある
そしてFA権には国内FA権と海外FA権があります。
国内FA権は日本国内の他球団と交渉できる権利です。
海外FA権は、MLBなどの海外リーグの球団と契約交渉できる権利です。
国内FAでは2017年までで、計87名が移籍、海外FAでは2017年までで、計31名が移籍しています。
これだけの選手が移籍しているのですから、FA制度によって球団間の競争が増し、より健全な業界になったといえるでしょうね。
そして、この国内FAと海外FAでは取得条件が少し違っています。
FA権の取得条件とは?
まず、FA権を取得する為には一定以上の一軍登録と、年数が必要です。
国内FA・海外FA権共に、145日以上の一軍登録を1年としてカウントします。
そして、145日未満の場合は、シーズンを跨いで合算することが可能です。
例えば、
- 年間一軍登録日数が200日の選手 → 145日としてカウントして1年 *1年で145日を超える分は切り捨て
- 年間登録日数が2017年に75日、2018年に70日の選手 → 合算して145日なので1年
となります。
この年数が下記の表に対応する年数に達すると、国内FA権を取得できます。
条件 | 高卒選手 | 大卒・社会人卒選手 |
2006年以前のドラフト選手 | 累計8年(1160日) | 累計8年(1160日) |
2007年以降のドラフト選手 | 累計8年(1160日) | 累計7年(1015日) |
ドラフト時期によって、取得条件が変わってきますので、ご注意ください。
海外FAの場合は、ドラフトの条件関係なく、全選手累計9年となっています。
さらに一度FA宣言した場合は、残留・移籍問わず累計4年で国内FA権と海外FA権を一緒に取得となります。
ちなみに、権利を行使しなければ、翌年に権利は持ち越されます。
また、外国人の場合も同様にFA権を取得可能となっており、外国人が国内FA権を取得すると、外国人枠から外れ日本人扱いとなります。
2018年はホークスのサファテと阪神のメッセンジャーがその対象となっています。
FA権行使の申請と交渉開始時期とは?
FA権を取得した選手は、自分がFA権を行使するか決めます。
FA権を行使する場合は、日本シリーズ終了の翌日から土日祝日を除く7日以内に、NPBコミッショナーに文書で通知する必要があります。
日本シリーズにより日程は変わりますので、注意が必要ですね。
ちなみに2018年であれば、日本シリーズが4戦で終わった場合は11月10日、7戦目まで行った場合は11月13日が締め切りになります。
そして、8日目の午後3時にコミッショナーより、FA宣言選手として公表され、その翌日から交渉解禁です!
なので2018年の場合、最短でFA権行使の公表が11月11日、交渉は11月12日からとなります。
FA権のランクと人的補償・金銭補償の関係は?
FA権を行使した選手は自球団を含めた各球団と交渉が始まります。
ここで考えておかなければならないのは、人的補償と金銭補償です。
FA権を行使する選手にはランクが決められます。
ランクはA~Cまであり、Aが一番高ランクとなります。
このランクは何を意味するのか?
ランクが高いと、FA宣言選手を獲得した球団は、獲得元の球団へ人的補償か金銭補償をしなければなりません。
下記がランクごとの移籍元への補償です。
ランクA | ランクB | ランクC | |
人的補償なし (金銭補償) | 旧年俸の0.8倍の金銭 (二度目のFAは旧年俸の0.4倍の金銭) | 旧年俸の0.6倍の金銭 (二度目のFAは旧年俸の0.3倍の金銭) | 補償なし |
人的補償あり | プロテクト外選手1名+ 旧年俸の0.5倍の金銭 (二度目のFAは旧年俸の0.25倍の金銭) | プロテクト外選手1名+ 旧年俸の0.4倍の金銭 (二度目のFAは旧年俸の0.2倍の金銭) | 補償なし |
ランクCは補償がないんですね~
ランクB以上で人的補償を移籍元球団が選んだ場合、プロテクト外選手と金銭を受け取ることが可能です。
プロテクトは直近のドラフトで獲得した選手や外国人枠以外の28名となっていますので、意外と将来有望な選手を流出なんてこともあるんですよね~
なので、FA移籍した選手がランクB以上なのか?という事は獲得球団にとって非常に重要なんですね。
ではそのFA選手のランクはどうやって決まるのか?
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【2018年】プロ野球FA選手の移籍先チーム予想!FA権行使予想と主力選手のご紹介!
FA選手のランクの決め方とは?
決め方は非常にシンプルです。
単純に、移籍元球団の時の年俸によって決まります。
条件 | |
ランクA | 旧球団年俸ランキング3位以内 |
ランクB | 旧球団年俸ランキング4~10位 |
ランクC | 旧球団年俸ランキング11位以下 |
旧球団での年俸ランキングが3位以内であればランクA、4~10位であればランクB、11位以下の場合はランクCといった具合です。
この場合の年俸ランキングは外国人枠の選手を抜いた場合です。
例えば、2018年FA権を取得する広島の松山選手は、年俸ランキングがギリギリ10位です。
なのでランクBです。
たとえ松山がFA宣言をして放出したとしても、広島は人的補償を選べる状態です。
首脳陣はこういった背景もあり、松山の年俸をギリギリ10位にしているんですね~
ちなみに、海外FAで移籍した場合は補償は一切ありません。
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プロ野球ポスティングシステムの条件とは?年数や資格、ルールは?
外国人選手のFAでは補償は無し!
外国人選手のFA移籍の場合は補償はありません。
>>ヤクルト“協約盲点”に泣き寝入り…バレンティンFA移籍でも補償なし!?
外国人のFA移籍について野球協約に記載されていないのが理由のようです。
なかなか稀なケースですが、今後のことを考えるとしっかりルールを整備して欲しいですね。
FA選手の獲得には上限がある
実はFA選手の獲得には上限があります。
補償対象選手の場合、他球団から獲得出来るのは1シーズン2名までとなっています。(自球団からのFA宣言選手は2名に含まず)
つまりランクCの選手は制限がないけど、ランクAやBの選手を他球団から獲得する場合は、2名までということです。
ただFA宣言選手が多い場合は、制限が変わってきます。
条件 | 獲得上限 |
FA選手が20名以下の場合 | 2名まで |
FA選手が21~30名の場合 | 3名まで |
FA選手が31~40名の場合 | 4名まで |
FA選手が41名以上 | 5名まで |
規定では上記のように決まっていますが、FA宣言選手は1シーズンで多くても10人ほどです。
補償対象選手は2名までの獲得、と考えておいていいでしょうね。
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プロ野球12球団のFA補強を分析!FA選手の獲得数や割合、チーム別の傾向は?
プロ野球FAランクの仕組みとは?まとめ
以上がプロ野球のFA制度や権利の概要、ランクや補償の解説でした。如何でしたでしょうか?
自分の応援している球団のお気に入りの選手が移籍というのは辛いですが、FAは選手の為の権利です。
このFA制度によって、自由競争が生まれ、回りまわって球界の健全化に繋がります。
よく巨額のお金でFA選手を獲得する球団が非難の的になることがありますが、球界にとって良いことではありません。
なぜなら、優秀な選手に見合った年俸を支払うのは当然のことだからです。
結局はそれが、球界全体の繁栄に繋がっているんですね。
なので、個人的にはもっとFA制度を緩くした方が良いと感じています。
あなたはFA制度についてどう思いますか?
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