メジャーリーグ挑戦と言ったら、よく聞くのがポスティングシステムです。
2017年オフには大谷翔平がポスティングシステムでMLB挑戦をしていますね。
そんなポスティングシステムの内容をご存知ですか?
今回はそんなポスティングシステムのルールや年数・資格などの条件をわかりやすく解説します!
◇目次◇(該当箇所クリックで飛べます)
概要
おへその国からこんにちは❗
きょう11日のスポニチ東京紙面(最終版)の1面トップです❗
GM会議がスタート。広島・前田健がポスティングをした場合、カブスが争奪戦に名乗りを挙げました。
ぜひスポニチ紙面の記事もお読みください❗ pic.twitter.com/FOC4KhWaj5
— スポニチ野球記者 (@SponichiYakyu) 2015年11月11日
まずはポスティングシステムの概要を説明します。
ポスティングシステムとは
- プロ野球で認められている移籍制度の一つ
- FA対象でない選手がMLB移籍を希望する場合に活用
- 導入のきっかけは、野茂英雄の任意引退によるMLB契約
- 選手と所属球団が合意しないと行使はできない
- MLBの移籍先球団は日本の移籍元球団へ対価として譲渡金を支払う
です。
ポスティングシステムは、野茂英雄がMLB挑戦のために、任意引退によってMLBと契約したことがきっかけです。
その対策として、FA対象ではないプロ野球の選手が、球団の合意を得て、MLB移籍が可能なポスティングシステムが1998年に導入されました。
FA取得には一定数の一軍登録期間が必要ですので、「今すぐにMLBへ行きたい」という選手が対象ということですね。
FAについては下記で解説していますので、知りたい方はチェック!
合せて読みたい!
プロ野球FA制度!FA権のランクや取得条件、人的補償・金銭補償の内容も!
それだと日本の球団は有望選手が抜けてしまうので困ってしまいますね。
その為、ポスティングによって移籍を希望している選手の所属球団は、対価として譲渡金を受け取ります。
つまり、「MLB移籍を容認する代わりに、所属球団が対価を受け取るシステム」です。
ルールや条件・資格・年数は?
#ソフトバンク の #千賀 投手が、メジャー挑戦の希望を球団に伝えていたことを明かしました。21日の契約更改交渉で伝え、ポスティングシステムについての球団方針を確認。球団は同システムの利用を認めておらず、千賀は海外FA取得に最短でも6年を要します。今後の行方が注目されます。 pic.twitter.com/kiBrRfAXTt
— スポニチ東京販売 (@sponichi_hanbai) 2017年12月28日
続いてポスティングシステムの新ルール詳細です。
- ポスティングは資格や年数などの制限は一切なし
- 選手と所属球団は合意のもと申請を行う
- 毎年11月1日~12月5日まで申請が可能
- 告知後、30日間の交渉期間が設けられる
- 移籍元への譲渡金は移籍選手の契約金によって決まる
- 契約合意しなかった場合は、翌年の11月1日までポスティングの申請は出来ない
順番に説明しますね。
ポスティングの資格や年数の条件は?
ポスティングシステムを行使するのに、選手の資格や年数のしばりは一切ありません。
唯一の条件は「所属球団と合意すること」のみです。
なので、新人選手でも球団との合意があれば、ポスティング申請をすることが可能です。
しかし、球団によってはポスティングシステムを認めないケースも多く、そういった場合は海外FA権の取得まで待たなくてはなりません。
ポスティングシステムの基本ルール
ポスティング移籍を希望し球団と合意したら、球団は11月1日~12月5日の間に、NPBコミッショナーに申請します。
申請を受理したNPBコミッショナーはMLBコミッショナーに通知。
通知の翌日から30日間の交渉期間が設けられ、譲渡金に応札した球団と選手の交渉が始まります。
契約成立となれば、契約金の額に応じた譲渡金が移籍元球団へ支払われます。
契約まで至らなかった場合、譲渡金は支払われず、翌年の11月1日までポスティングの再申請は出来ません。
ポスティングシステムの譲渡金新ルール!
2018年からの新ルールでは譲渡金システムが変更になっています。
2013~2017年までは、移籍元球団が上限2000万ドルの譲渡金を設定し、その譲渡金に応札した球団が選手と交渉を行っていました。
つまり、応札球団としか選手は交渉出来なかったわけです。
しかし、2018年からは契約金に対して譲渡金が発生する仕組みとなった為、選手は多くの球団と交渉出来るようになります。
これにより、選手がよりいい条件の球団を選びやすくなったと言えるでしょうね。
契約金と譲渡金の関係は下記です。
- 契約金総額のうち、2500万ドル(28億円)以下はその金額の20%
- 契約金総額のうち、2500万~5000万ドルはその金額の17.5%
- 契約金総額のうち、5000万ドル以上はその金額の15%
例)契約金総額7000万ドル(79億円)の場合:2500万ドル×20%+2500万ドル×17.5%+2000万ドル×15%=1238万ドル(14億円)
このように契約金額に対して譲渡金が変動するんですね~
さらに、出来高払いに対しても譲渡金が発生します。
契約金とは別に、各年度ごとに出来高払いの15%を移籍元球団へ支払われます。
その為、前田健太のように基本給の3倍もの出来高を出すという契約は避けられるようになるでしょうね。
ここで懸念事項が見えてきます。
それは契約年数が縮小されるという事です。
今までは田中が6年、前田が8年、ダルビッシュが6年といったように、大型契約が主流でした。
しかし、今後は契約金を抑えるために、短期契約が多くなりそうですよね~
そうなると、短期契約になった分、年俸は高騰傾向になるでしょうから、選手は有利、移籍元球団は不利になると言えるでしょう。
2013年以前のルールは?
さらにさかのぼってみましょう。
この譲渡金システムは2013年に一度変更になっています。
2013年以前は、譲渡金の上限は無く、契約交渉権は最高入札額の球団のみでした。
このため、
- 入札額の高騰
- 選手が希望球団を選べない
- 契約金が少なくなる
といった問題がありました。
例えば、2011年のダルビッシュは譲渡金5170万ドル(当時レートで約40億円)、2006年の松坂大輔は5111ドル(当時レートで約60億円)といった具合で、かなり高騰していましたね。
そこで、2013年からのルールは譲渡金の上限を2000万ドルと設定し、それに応札した全球団が選手と交渉出来るようになりました。
譲渡金が入るのは移籍元球団なので、2013年制度で日本球団が不利になったと言えるでしょう。
しかし、選手側からしたら、落札球団としか交渉が出来ないのは非常に不利ですよね。
落札金額を高くして、その分年俸を低くする可能性もあります。
なので、選手目線では有利になったと言えるでしょうね。
それを裏付けるのが下記のデータです。
落札額と年俸の関係は?
NYY 田中将大 投手 2014年にポスティングでニューヨーク・ヤンキースと7年1億5500万ドルの契約を結んだ。日本球界最終年にはシーズン24勝0敗を記録。背番号は19pic.twitter.com/9ivBItmQzh
— MLB選手bot (@mlbplayer2014) 2018年10月11日
下記の表はポスティングの主な選手の落札額と年俸をまとめた表です。
2013年の田中将大から制度が変更になっています。
年度 | 名前 | 譲渡金 | 年俸 |
2000 | イチロー | 1312万ドル (15億円) | 5.4億円 |
2001 | 石井一久 | 1126万ドル (14.5億円) | 5.3億円 |
2006 | 松坂大輔 | 5111万ドル (60億円) | 10億円 |
2006 | 井川慶 | 2600万ドル (30億円) | 4.8億円 |
2011 | ダルビッシュ有 | 5170万ドル (40億円) | 8億円 |
2013 | 田中将大 | 2000万ドル (20億円) | 22億円 |
2015 | 前田健太 | 2000万ドル (24億円) | 15億円 |
2017 | 大谷翔平 | 2000万ドル (22億円) | 0.03億円 |
*年俸は出来高込み、長期契約は1年あたりの平均、当時レートとしています
例えば、旧制度のダルビッシュと、2013年制度の田中を比較してみると差は歴然です。
譲渡金はダルビッシュの方が2倍ほど高くなっていますが、年俸に関しては田中の方が3倍ほど多いです。
旧制度と2013年制度の違いを考えれば、当たり前ですよね(笑)
選手が複数の球団と交渉出来るのであれば、いい条件の球団を選ぶでしょうから、獲得したい球団は年俸を高く出します。
なので、新制度以降の田中や前田がダルビッシュよりも高い年俸となっているんですね~
ダルビッシュがかわいそうなくらいに感じます・・・
こうして旧制度、2013年制度、2018年新制度を見て行くと、ポスティングシステムは選手有利、移籍元球団不利という状況が進んでいることがわかります。
実際に、2018年制度でどうなるか注目して行きたいですね。
話は変わりますが、先ほどの表を見て一つ気になる点がありますよね。
それは「大谷の年俸の低さ」です。
大谷を直撃したMLBの25歳ルール
日本ハムからポスティングシステムでエンゼルスに移籍を決めた #大谷翔平 が、札幌ドームで「惜別会見」を行いました。栗山監督にラストボールを投げ込むセレモニーでは、サプライズでエンゼルスのユニホームを着用。無料解放された会場に集まったファンは約1万3000人でした。 pic.twitter.com/Rc7gk6BOVs
— スポニチ東京販売 (@sponichi_hanbai) 2017年12月26日
MLBでは自国選手の保護や戦力均衡を目的とし、国際FA選手や移籍選手に対して25歳ルールを定めています。
25歳ルールは
- 25歳以下の海外からの移籍選手に適用
- ポスティングでの移籍も適用
- 契約選手はマイナー契約からとなる
- MLB球団は25歳以下の海外選手契約に使える金額が年間475~575万ドルに制限
- 25歳ルール該当選手のトレード放出によって、最大75%の枠の引き上げが可能
- ポスティングの譲渡金は25歳ルール外
- 枠を超えると、ペナルティーとして翌年の最高契約金が30万ドルとなる
となっています。
25歳以下の海外選手に対しての制限なので、適用範囲が広いですよね~
また、25歳以下の海外選手に使えるお金が年間475~575万ドル(5.5億円~6.6億円)なので、制限も非常に厳しいです。
その為、大谷翔平の契約金は213万ドル(2.5億円)ほどでした。安いですよね~
MLB球団としても、これらの制限を超えるとペナルティーとなっていますので、守らざる得ないと言えるでしょうね。
さらに、移籍したとしてもマイナー契約です。
25歳以下の海外選手は、必ずマイナー契約となるので、年俸は300万円ほどだそうです。(月収20万円+食費など)
有望選手ならすぐにメジャーへ昇格出来ますが、たとえメジャーへ昇格したとしても年俸は最低保証の54.5万ドル(6,300万円)になるでしょう。
大谷の場合もすぐにメジャー昇格していますが、現在の年俸はやはり54.5万ドル(6,300万円)のようですね・・・
さらに大谷の場合、6年間はエンゼルスが保有権を持ち、3年目終了時までの年俸調停権を得るまでは、年俸据え置きのようです。
これはけっこう大きな問題ですよね~
これを承知でMLB挑戦した大谷は「お金よりも夢」だったことは言うまでもないですよね。
ただ、こういった事実は米国内でも問題となっており、大谷の救済策を検討する動きも出ているそうです。
ルールや条件、年数、資格、まとめ
突然の今オフ、ポスティングシステムでのメジャー移籍容認報道。。。
これが事実なら菊池雄星を生で見れるのも、10回ないかもと思うと、西武ドームは全試合行くのはもちろん、遠征も含めてできるだけ見に行きたい♪♪
気持ちよく送り出せる結果を、残して頑張ってほしい☆! pic.twitter.com/AhAHEWQOXS
— びぃぜっとぉ (@bz30th) 2018年8月17日
以上がポスティングシステムの新ルールや条件、年数や資格のご紹介でした。如何でしたでしょうか?
2018年シーズンは西武の菊池雄星がポスティングでMLBに移籍と言われています。
優勝をしていますし、既に西武も容認しているので、行使は確実となるでしょうね~
その他に、オリックスの西も一部報道ではポスティングか?と言われています。
こうやって優秀な選手が移籍するのは寂しいですが、MLBで活躍する姿を見ると嬉しいですよね~
今年はどの選手がMLBに挑戦するのか?
オフシーズンの動向を見守りましょう。