セイバーメトリクスのUZRとは?意味や計算方法、プロ野球2018年のランキング

毎年11月に、プロ野球の中で活躍した選手・関係者が表彰される、NPBアワード。

その1つに、守備の上手い選手に贈られるゴールデングラブ賞があります。

このゴールデングラブは、記者による投票で選出されるので、基準があいまいで「?」といった選出が多々あります。

なので、「守備が上手い」=「ゴールデングラブ賞」と決めつけてしまうのは非常に危険です。

そこで今回は、選手の守備を数字で評価するセイバーメトリクスの「UZR」をご紹介します。

UZRの意味や計算方法、2018年のUZRのランキングについても紹介。

さらに、UZRランキングとゴールデングラブ賞受賞者との関連性についても考察してみました!

セイバーメトリクスとは?UZRの意味は?

セイバーメトリクスとは?

セイバーメトリクスは、アメリカで作られた統計学に基づいた野球指標です。

この指標により、「どのくらい得点に貢献したか」、「どれだけ失点を防げたか」といった幅広い視点で、チームや選手を評価する事ができるようになりました。

あなたは、「バントよりも他の作戦の方が得点できる確率が高くなる」という話を聞いたことがありませんか?

これは、セイバーメトリクスのデータにより導き出されたものです。

近年、こういったデータを使うことにより、チームでの作戦や選手の評価に変化が見られています。

では、セイバーメトリクスによる評価はどのように行われるのでしょうか?

それでは、守備の評価であるUZRについて、見ていきましょう。

セイバーメトリクスのUZRの意味は?

UZRは「アルティメット・ゾーン・レーティング(Ultimate Zone Rating)」の略です。

守備でどれだけ失点を防げたかを測る相対的な指標となっています。

相対的な指標なので、連盟やリーグの全選手のデータが基になります。

データとは、「どのポジションの選手が処理をしたか?」、「守備が成功したか、失敗したか?」といったものです。

データは、打球の飛んだゾーンや打球の種類、速さ(強さ)ごとに分類されます。

ゾーンとは、グラウンドをいくつもの区画に分けたもので、打球が飛んだゾーンによって、違う打球のデータとして分類します。

次に、打球の種類です。

バントやゴロ、外野へのフライ、外野へのライナーの事で、同じゾーンでも、フライとゴロでは別の打球のデータとして分類します。

このように、打球の来たゾーンや打球の種類・強さといった打球の内容ごとに、データを分類します。

なぜ、打球の内容ごとに分類するのでしょうか?

打球の難しさによって評価が違うUZR

これは、打球の内容や難しさによって評価を変えるためです。

アウトとなる確率が高いゾーンの打球とアウトになる確率が低いゾーンの打球では、アウトになりにくいゾーンの打球を処理した方が高い評価になるようにします。

アウトとなる確率は、取得した全プレイヤーのデータから算出されたものです。

このようにして、同じアウトでも「打球の内容や難しさ」によって評価が変わります。

では、UZRは、どういった計算方法で求まるのでしょうか?

 セイバーメトリクスのUZRの計算方法は?

これまで、UZRの概要を説明しましたが、計算方法についても見ていきましょう。

下記の計算式に補正をかけたものが、打球ごとのUZRです。

これを、処理した打球の分だけ、足し合わせたものが最終的なUZRになります。

打球ごとのUZRの計算式
UZR(補正前)=プラスとなる評価-マイナスとなる評価
=(守備の評価×得点価値)-(アウトに出来る見込み×得点価値)

式にある通り、打球ごとのUZRは、「プラスとなる評価」と「マイナスとなる評価」を合わせて評価します。

UZRはプラスとなる評価とマイナスとなる評価がある

「プラスとなる評価」が与えられるのは、アウトを取ったり打球を処理した時です。

一方で、「マイナスとなる評価」が与えられるのは、アウトを取れなかった時です。

エラーをしたり、ヒットを許すと、マイナスの評価となります。

それでは、「プラスとなる評価」や「マイナスとなる評価」は、どのように計算されるのでしょうか?

UZRの守備の評価とは?得点価値とは?アウトに出来る見込みとは?

下の式の通り、「プラスとなる評価」は、「守備の評価」と「得点価値」をかけたものです。

プラスとなる評価
プラスとなる評価=守備の評価×得点価値

一方で、「マイナスとなる評価」は、「アウトに出来る見込み」と「得点価値」をかけたものです。

マイナスとなる評価
マイナスとなる評価=アウトに出来る見込み×得点価値

では、「守備の評価」、「得点価値」、「アウトに出来る見込み」は何か、それぞれ見ていきましょう。

「守備の評価」とは、処理した打球がアウトとならない割合の事です。これは、全プレイヤーのデータに基づいています。

例えば、そのエリアのフライで25%がアウトになるとすると、アウトにならない割合は75%、これを小数で表した0.75が守備の評価です。

アウトとなりにくい難しい打球ほど、「守備の評価」が高くなるのです。

「得点価値」とは、アウトになった事により失う失点とアウトにより減らせる失点の和です。

例えば、外野に飛んだ打球の場合、外野へのヒットによる失点が約0.56点、アウトをとる事により減らせる失点が約0.27点と一般的に言われています。

これらを足した0.83点が得点価値となります。

打球がアウトになった時とアウトにならなかった時を比べて、どれだけ失点を防げたかを表すのが、「得点価値」です。

一方で、「アウトに出来る見込み」とは、そのゾーンで該当するポジションの選手がアウトに出来た割合の事です。これも、全プレイヤーのデータに基づいています。

例えば、あるエリアで、アウトに出来た割合が25%、センターがアウトに出来た割合が15%、レフトがアウトに出来た割合が10%とします。

この場合、センターがアウトに出来る見込みは0.15、レフトがアウトに出来る見込みは0.10です。

同じポジションの選手が、どの位の割合でアウトに出来る打球かを表すのが、「アウトに出来る見込み」です。

UZRの補正は?

UZRは式に補正をかけたものと書きましたが、UZRの補正とは、下記のようなものです。

  • どの塁にランナーがいるか?

例えば、「満塁」と「ランナーなし」では守備位置などが違います。

それらを考慮して、ランナーの状況により、それぞれ補正がかかります。

  • どこの球場での試合か?

屋外球場では風などの影響を受けます。千葉ロッテマリーンズの本拠地・ZOZOマリンスタジアムは風が強いことで有名です。

さらに、人工芝の球場と天然芝の球場でも、打球の弾み方が違います。

このような影響を加味して、行われた球場により、それぞれ補正がかかります。

  • 捕手特有のプレーについて

ちなみに、投手や捕手は打球処理を行う守備範囲が狭く、基本的にUZRによる評価は行われません。

しかし、DELTA社では投手や捕手のUZRも算出しています。

この算出方法には、盗塁阻止や捕逸といった捕手特有のプレーも含んで計算しています。

エラーや守備範囲については、UZRでどう評価されるか?

ところで、エラーが少ない(多い)選手や守備範囲の広い選手はUZRでどう評価されるのでしょうか?

  • エラーが少ない(多い)選手

「難しい打球を捕りに行って失敗したらエラーになる」ケースもあります。

また、「捕りに行ける打球を取りにいかないとエラーにならない」ケースもあります。

ここで、「難しい打球を捕りに行っても評価されないのか?」という疑問が沸くでしょう。

UZRでは、難しい打球を取りに行ってエラーとなった場合、大きなマイナスとはなりません。

難しい打球とは、計算方法で言う「アウトに出来る見込み」が低い打球を指すからです。

エラーだけでなくヒットにした場合も同様です。

  • 守備範囲の広い選手

こちらについても、下記の疑問が出てきます。

他の野手に任せてもいい打球を処理した選手は、守備範囲が広くていい選手なのでしょうか?

一方で、その野手が取ったために打球を処理できなかった選手は、守備が悪い選手なのでしょうか?

アウトとなりにくい難しい打球なら処理した選手のプラスとなる評価が高くなります。

一方で、いずれかのポジションでアウトとなる割合が高い打球なら、プラスとなる評価は低くなります。

と、こんな感じで守備を相対的に評価したのが、UZRという指標です。

プロ野球2018年のUZRランキングは?

では、今年のUZRのランキングはどうなっているのでしょうか?

そしてゴールデングラブ賞との相関はあるのか?を確認していきます。

なお、本記事ではDELTA社のデータをご紹介させて頂きます。

DELTA社はUZRをはじめとした、セイバーメトリクスの各選手データーを下記サイトで公開しています。

野球ファン必見の素晴らしいサイトで、著者はもちろん、有料会員となっています。

では、各ポジションでのランキングを見てみましょう

ちなみに投手は対象外です。

捕手のUZRランキング

まず、キャッチャーのランキングです。

パ・リーグ

順位選手名チームUZRゴールデングラブ
1甲斐 拓也ホークス7.9☆
2田村 龍弘ロッテ3.1
3森 友哉西武2.2
4嶋 基宏楽天1.7
5若月 健矢オリ0.7

セ・リーグ

順位選手名チームUZRゴールデングラブ
1梅野 隆太郎阪神3.0☆
2中村 悠平ヤクルト2.5
3小林 誠司巨人2.3
4會澤 翼広島0.3

2018年の捕手のゴールデングラブ賞は、パ・リーグが福岡ソフトバンクホークスの甲斐拓也選手、セ・リーグが阪神タイガースの梅野隆太郎選手が受賞しました。

両リーグともUZRが一番高い選手と一致していますね。

一塁手のUZRランキング

パ・リーグ

順位選手名チームUZRゴールデングラブ
1山川 穂高西武5.1
2井上 晴哉ロッテ4.6
3銀二楽天3.0
4中田 翔日ハム2.0☆

セ・リーグ

順位選手名チームUZRゴールデングラブ
1D・ビシエド中日-0.7
2J・ロペス横浜-1.6☆
3坂口 智隆ヤクルト-3.0
4岡本 和真巨人-7.3

2018年の一塁手のゴールデングラブ賞は、パ・リーグが北海道日本ハムファイターズの中田翔選手、セ・リーグが横浜DeNAベイスターズのJ・ロペス選手が受賞しました。

両リーグともUZRが一番高い選手と異なる結果となりました。

これは、投票した記者が「中田翔の守備が上手い」という、先入観があるからでしょうね。

二塁手のUZRランキング

パ・リーグ

順位選手名チームUZRゴールデングラブ
1中村 奨吾ロッテ6.5☆
2浅村 栄斗西武5.2
3福田 周平オリ4.4

セ・リーグ

順位選手名チームUZRゴールデングラブ
1菊池 涼介広島9.8☆
2山田 哲人ヤクルト8.7
3高橋 周平中日-0.2
4糸原 健斗阪神-11.4

2018年の二塁手のゴールデングラブ賞は、パ・リーグが千葉ロッテマリーンズの中村奨吾選手、セ・リーグが広島東洋カープの菊池涼介選手が受賞しました。

両リーグともUZRが一番高い選手となりました。

三塁手のUZRランキング

パ・リーグ

順位選手名(敬称略)チームUZRゴールデングラブ
1松田 宣浩ホークス13.5☆
2B・レアード日本ハム2.1
3鈴木 大地ロッテ-1.3
4中村 剛也西武-3.4

セ・リーグ

順位選手名(敬称略)チームUZRゴールデングラブ
1大山 悠輔阪神1.2
2C・マギー巨人-2.6
3福田 永将中日-4.5
4西川 龍馬広島-11.1
5宮崎 敏郎横浜-11.3☆

2018年の三塁手のゴールデングラブ賞は、パ・リーグが福岡ソフトバンクホークスの松田宣浩選手、セ・リーグが横浜DeNAベイスターズの宮崎敏郎選手が受賞しました。

パ・リーグはUZRが一番高い選手となったのに対し、セ・リーグはUZRが一番高い選手となりませんでしたね。

セ・リーグの選出は「??」といった印象でした(笑)

遊撃手のUZRランキング

パ・リーグ

順位選手名チームUZRゴールデングラブ
1源田 壮亮西武30.9☆
2安達 了一オリ9.4
3中島 卓也日ハム4.3
4藤岡 裕大ロッテ-5.4
5今宮 健太ホークス-5.8
6茂木 栄五郎楽天-10.7

セ・リーグ

順位選手名チームUZRゴールデングラブ
1坂本 勇人巨人10.0
2京田 陽太中日5.9
3西浦 直亨ヤクルト3.9
4田中 広輔広島2.2☆
5大和横浜2.0

2018年の遊撃手のゴールデングラブ賞は、パ・リーグが埼玉西武ライオンズの源田壮亮選手、セ・リーグが広島東洋カープの田中広輔選手が受賞しました。

パ・リーグはUZRが一番高い選手となったのに対し、セ・リーグはUZRが一番高い選手となりませんでした。

広島東洋カープのリーグ優勝に、守備でも貢献したという印象度から、田中広輔選手が受賞となったのでしょうね。

外野手のUZRランキング

最後に外野手のランキングです。

パ・リーグ(レフト)

順位選手名チームUZRゴールデングラブ
1島内 宏明楽天17.3
2近藤 健介日ハム10.2
3吉田 正尚オリ0.3
4中村 晃ホークス-0.2

パ・リーグ(センター)

順位選手名チームUZRゴールデングラブ
1西川 遥輝日ハム6.2☆
2田中 和基楽天5.5
3柳田 悠岐ホークス2.1☆
4秋山 翔吾西武-1.2☆
5荻野 貴司ロッテ-6.4

パ・リーグ(ライト)

順位選手名チームUZRゴールデングラブ
1上林 誠知ホークス14.0
2大田 泰示日ハム13.3
3C・ペゲーロ楽天-6.9

セ・リーグ(レフト)

順位選手名チームUZRゴールデングラブ
1Z・アルモンテ中日-8.0
2福留 孝介阪神-9.1
3筒香 嘉智横浜-11.7
4W・バレンティンヤクルト-21.5

セ・リーグ(センター)

順位選手名チームUZRゴールデングラブ
1大島 洋平中日11.9☆
2桑原 将志横浜9.6
3青木 宣親ヤクルト-4.0
4丸 佳浩広島-4.3☆

セ・リーグ(ライト)

順位選手名チームUZRゴールデングラブ
1平田 良介中日11.9☆
2雄平ヤクルト-3.9
3鈴木 誠也広島-5.3
4糸井 嘉男阪神-17.6

ご存知の通り、ゴールデングラブ賞は、各ポジションからではなく外野手から3名選ばれる形です。

一方で、UZRは、レフト・センター・ライトの各ポジションごとに算出されます。

中日ドラゴンズの平田選手1人を除いてセンターから選ばれたのが興味深いですね。

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セイバーメトリクスのUZRとは?まとめ

以上がURZについての概要や、2018年のランキングのご紹介でした。

UZRについてまとめると、

UZRのまとめ
  • UZRは、ポジションの他の選手に比べて守備でどれだけ失点を防げたかを表す指標です。
  • 打球の飛んだゾーンによって違う、アウトに出来る見込みを評価に用います。
  • 同じエラーやフライ・ゴロでも打球の難しさによって評価のされ方が違います。

です。

また、ゴールデングラブ賞とUZRのランキングの比較もけっこうあるので、興味深いですよね。

数字で選手の守備を評価するUZR、記者の投票によって決まるゴールデングラブ。

あなたが選手の守備を評価する際、どちらを参考にしますか?

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